一般社団法人芦屋青年会議所-JCI-

2020年度・理事長あいさつ ASHIYA JC

理事長

過去は現在に生きているし、現在もまた未来に生きている。時の流れが生活の持続を支え、政治や経済の変革もこの持続をまったく断ち切る事はできない。つまり好むと好まざるにかかわらず、我々は歴史の中に生きている。この歴史こそ人間の叡智の共同資産ともいうべきもので、過去の人々が永い間にわたる営為のあとについての経験は、現在の決定を授けてくれる。為政者も農民も商人も社会的で有効な手を打とうとする場合には、いつも歴史を利用しその時々の最善を目指して営みを連綿と紡いできた。旧象の歯の化石をはじめとし、石器時代、古墳時代を経て、歴史時代の各期の遺物、遺跡、伝説等をとどめている芦屋は古代から日本人が好んで住居を定めた地であり国内どの地域と比類しても遜色なく重厚な輝きを放っている。しかしながら芦屋が今日見るような近代的都市に成長したのは極めて新しい事で、西攝の眇たる一寒村にすぎなかった事を考えれば先人たちの偉業に感服し思いが深くなるばかりである。芦屋青年会議所として1973年8月8日の設立から48年にわたり常に前を向き、明るい豊かな社会を構築するという理想のもと歴史を作りあげてこられた諸先輩方の汗と功績は、この地に於いて人々の記憶に深く刻み込まれている。その土壌で生まれ育った我々は単に懐古的な先人自慢をすることなく、常に新しい視野から行動し未来を切り拓く人材を育てていく責務があると考える。

地域で活躍できる人材を輩出するために、40歳までという制限の中で会員ひとりひとりが、目的意識をもって過ごす時間は、徒に過ごす時間の何倍も有意義で魅力あるものになる。その目的に共感できる仲間がいて、その仲間の目的に共感できる。そんな組織を構築する事で個人の成長につながり、街の成長につなげる好循環を生み出していきたい。評価されるまでに時間がかかるかもしれないが、20年後、30年後の芦屋を担う人材がこの場所から育ったと云える日がくるために、仲間を増やしながらも全力で走り抜ける場を作っていきたいと思う。

良い地域を作る上で何が大事か、漠然とした問いに対して即答ができる人間はごく一部であり、それも果たして正解であるかどうかなどその段階で分かる術もないだろう。私たちもこれが答えだ、こうあるべきだと言い張るつもりは毛頭ない。ただ、芦屋を知り、芦屋を想う気持ちを具現化しようとして足掻き苦しんだ中からでた答えは、何事にも代えがたく我々の中だけでなく広く市民の心の中にあり続けるだろう。何かをしようとする力が街を動かし、人々の心を動かす。そう思う。

青年会議所の基本は合議する事であり、その場は会議である。この会議の場が建設的で活発な意見がでるかで運動の質と効果に大きく影響がある。この会議を円滑に進める事はもとより、各会員の限られた時間を有効に活用するためにも効率的な運営に努めなければならない。会費の管理や出納の適正化を進めていき継続的な会の運営と透明性を担保していく所存である。そして、青年会議所としての運動を進めるにあたり、広報活動を積極的に取り組む事で、運動自体の周知だけでなく、青年会議所に対しての認識を高め市民からの理解と協力を得る窓口としての機能も期待される。

本年度、青年会議所のどの運動においても意識したいのが、すぎにし社会の実態を深く研究し事業を見直し今日の社会情勢に見合った内容とするだけでなく、求める未来像を追求し続ける事と、その中に驚きの要素を含めることで市民の記憶の中に強烈な印象と思い出を植え付け、郷里への想いをより強く抱かせる一助となる事を信ずる。また、どの集まりの場においても必ず笑顔が溢れる環境を創出する事も忘れずにいたい。
その笑顔を見て集まる仲間とともにありたいから。